ソフトウェア開発における最も重要な問いの一つは、今後数週間で欠陥がいくつ発見される可能性があるかです。
従来のソフトウェア信頼性成長モデル(SRGM)は、主に信頼性成長と残存欠陥の推定に焦点を当てます。こうしたモデルは有用な知見をもたらしますが、現代のソフトウェア組織には、将来の欠陥到着挙動をより詳細に把握することが求められる場合が多くあります。
Main Prediction Model(MPM)は、将来の欠陥到着傾向を予測し、リリース前にソフトウェア品質の状態を早期に把握するために開発されました。
01 / 予測的品質
欠陥到着予測が重要な理由
欠陥の到着状況は、ソフトウェア品質とプロジェクトの安定性を示す重要な指標です。
将来の欠陥到着を把握することで、組織は次のことが可能になります。
- テストの有効性を評価する
- ソフトウェア品質の傾向を把握する
- テストリソースを計画する
- 残作業量を推定する
- リリース判断を支援する
- 顕在化しつつあるリスクを特定する
予測による可視性がなければ、組織は主に過去の欠陥数と主観的な判断に頼らざるを得ません。
欠陥到着予測は、より先を見越したアプローチを可能にします。
02 / 予測的品質
欠陥到着曲線
テスト中の欠陥到着は、一般に認識可能なパターンを示します。例として、次が挙げられます。
- テスト初期の急増
- テスト後期の緩やかな安定化
- 複数回にわたる発見の波
- 欠陥発見が加速する期間
現代のソフトウェアプロジェクトでは、単一の信頼性成長モデルでは表現しにくい複雑な挙動が頻繁に見られます。
正確な予測には、こうしたパターンの理解が欠かせません。
図1 / MPMによる欠陥到着予測

03 / 予測的品質
Main Prediction Model(MPM)
適応型欠陥到着予測
Main Prediction Model(MPM)は、欠陥発見の挙動が時間とともに変化する環境で予測精度を高めるために開発されました。
単一の欠陥発見過程を仮定する古典的な信頼性成長モデルとは異なり、MPMは観測されたプロジェクトの挙動に基づく適応型予測を支援します。
このモデルは過去の欠陥到着データを継続的に評価し、将来の欠陥発見に影響する可能性のある傾向を特定します。
これにより、より柔軟かつ正確に将来の到着推移を予測できます。
MPMの主な特徴
- 欠陥到着の予測
- 傾向分析
- 複数段階のテスト環境への対応
- 適応的な予測更新
- 時間経過に応じた予測の改善
ライフサイクルを通じてテスト条件が変化する現代のソフトウェア開発プロジェクトで、これらの機能は特に有用です。
04 / 予測的品質
区間分割予測
欠陥発見挙動の変化を捉える
多くのソフトウェアプロジェクトは、単一の欠陥発見パターンには従いません。たとえば次のような変化があります。
- 新たなテスト段階
- 機能追加
- 回帰テストサイクル
- リソースの変更
- スコープの変更
MPMは欠陥到着挙動の変化を特定して予測を更新し、区間ごとの予測を支援します。
これにより、プロジェクトの状況変化に合わせてモデルを適応させることができます。
MPMは欠陥到着挙動の変曲点を自動的に特定し、各区間に個別の予測モデルを適用します。
図2 / 区間分割Main Prediction Model(MPM)

05 / 予測的品質
早期予測機能
プロジェクト完了前の予測
MPMの主な目的の一つは、テスト工程の早い段階で有用な予測を提供することです。
早期予測により、組織は次のことが可能になります。
- 品質リスクの可能性を特定する
- スケジュールの実現可能性を評価する
- テストの十分性を評価する
- 是正措置を計画する
- リリース準備状況の判断を改善する
早期に状況を把握することで、先回りした管理を行う余地が広がります。
06 / 予測的品質
品質ガバナンスの支援
欠陥到着予測は、品質ガバナンス活動に有用な情報を提供します。
組織は到着予測を用いて、次の項目を評価できます。
- 品質傾向
- 必要なリソース
- スケジュールリスク
- テストの有効性
- リリース準備状況
予測により、ソフトウェア品質管理を事後対応型のプロセスから予測に基づく取り組みへと変革できます。
07 / 予測的品質
残存欠陥推定との関係
残存欠陥の推定が答えようとする問いは、「欠陥はあといくつ残っているか」です。
欠陥到着予測は、関連する問いである「今後、欠陥はいくつ発見される可能性があるか」に答えます。
これらの予測を組み合わせることで、リリース準備状況を定量的に評価できます。
08 / 予測的品質
リリース準備状況の評価
残存欠陥率は、リリース準備状況と運用リスクを早期に示す指標です。一般に、残存欠陥率が低いほどソフトウェア品質が高く、リリース後に欠陥が露呈するリスクも低くなります。
残存欠陥率は、リリース時点のソフトウェア品質を実務的に測る尺度です。STARの既定しきい値は次のとおりです。
| 残存欠陥率 | 評価 |
|---|---|
| <15% | 許容範囲(緑) |
| 15–25% | 注意(黄) |
| >25% | 高リスク(赤) |

残存欠陥率が低いほど、潜在欠陥のより多くがリリース前に除去されたことを示します。
これらはSTARの既定推奨値であり、組織の品質目標やリスク許容度に応じて調整できます。
09 / 予測的品質
MPMからCCPMへ
欠陥到着の予測は、ソフトウェア品質を捉える要素の一部にすぎません。
組織はさらに、次の点を把握する必要があります。
- 欠陥がどれだけ速く解決されるか
- リソースが十分か
- 未解決のまま残る欠陥はいくつか
これらの問いには、欠陥の到着と解決の両方を予測する必要があります。
そのためにClosure Curve Prediction Model(CCPM)が開発されました。
10 / 予測的品質
予測的ソフトウェア品質分析の支援
Main Prediction Modelは、ソフトウェア品質の現代的な予測分析の基盤となります。
将来の欠陥到着挙動を予測することで、組織は次のことが可能になります。
- 計画の精度を高める
- 品質ガバナンスを強化する
- 顕在化しつつあるリスクを予測する
- リリース準備状況の評価を支援する
- データに基づく意思決定を可能にする
MPMは、古典的なソフトウェア信頼性成長モデルからSTAR™のような包括的な予測的品質インテリジェンスの枠組みへと進化するうえで、重要な一歩です。
11 / 予測的品質
今後の展望
欠陥到着予測は、品質を構成する要素の片側にすぎません。
次の方法論ページでは、将来の欠陥解決挙動を予測し、未解決欠陥、リリース準備状況、ソフトウェアのデリバリー性能の予測を可能にするClosure Curve Prediction Model(CCPM)を紹介します。
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